「人手が足りない」と感じる場面は、多くの会社にあると思います。
事務作業が追いつかない。
現場の記録がたまっている。
見積や集計に時間がかかる。
担当者が忙しく、確認が後回しになる。
こうした状態が続くと、まず「人を増やしたい」と考えるのは自然です。
もちろん、本当に人手が必要な場合もあります。
ただ、その前に一度見ておきたいのが、今の仕事の流れです。
人が足りないのではなく、仕事の進め方の中に、手間が増えやすい形が残っていることもあります。
忙しさの中身を見る
「忙しい」と一言で言っても、中身はいろいろあります。
たとえば、
- 毎月同じ集計をしている
- 紙の記録をExcelに転記している
- 複数ファイルを開いてコピーしている
- 過去の見積書を探している
- 担当者に状況を確認している
- 同じ内容を別の資料にも入力している
- 最新ファイルがどれか分からず探している
こうした作業は、一つひとつは小さく見えます。
しかし、毎日・毎週・毎月くり返していると、かなりの時間になります。
人手不足に見えているものの一部は、こうした小さな手間の積み重ねかもしれません。
人を増やしても、仕事の流れが同じなら忙しさは残る
人を増やすことは、もちろん有効な手段です。
ただ、仕事の流れが複雑なままだと、新しく入った人にも同じ手間が発生します。
- どこに何を入力するか分かりにくい
- ファイルの保存場所が決まっていない
- 担当者ごとにやり方が違う
- 確認作業が多い
- 同じ内容を何度も入力している
- 古いルールが残っている
この状態のまま人を増やすと、作業人数は増えても、確認や教育の手間も増えます。
結果として、「人は増えたのに、あまり楽にならない」ということもあります。
まずは重複している作業を探す
仕事の流れを見直すときは、難しく考える必要はありません。
まずは、同じ情報を何度も扱っていないかを見てみるだけでも十分です。
たとえば、
- 紙に書いた内容をあとからExcelへ入力している
- Excelに入力した内容を別の資料へ写している
- メールの内容を管理表に手入力している
- 見積書を作ったあと、別の一覧表にも入力している
- 日報の内容を月末にもう一度集計している
こうした重複作業は、見直しやすい部分です。
一度入力した情報を、あとから何度も使い回せる形にできると、手間を減らしやすくなります。
探す時間も見えにくいコストになる
意外と見落とされやすいのが、探す時間です。
- 過去の見積書を探す
- 古いメールを探す
- 正しいExcelファイルを探す
- 紙の記録を探す
- 写真や資料を探す
- 誰が担当していたか確認する
探している時間は、作業している感覚があるので、あまりムダに見えにくいです。
しかし、本来はすぐに見つかる状態にしておければ、別の仕事に時間を使えます。
特に、社長や管理者が「ちょっと確認したい」と思ったときに、毎回誰かに聞かないと分からない状態は、判断のスピードにも影響します。
属人化は、忙しさを増やす原因になる
仕事が特定の人に寄っている状態も、忙しさの原因になります。
- あの人しか分からないExcel
- あの人しか探せない資料
- あの人しか直せないマクロ
- あの人しか見積の経緯を知らない
- あの人しか取引先とのやり取りを把握していない
この状態だと、担当者に仕事が集中しやすくなります。
本人は慣れているので対応できますが、周りから見ると中身が見えません。
そして、その人が休んだときや退職したときに、急に困ることがあります。
人手不足を感じる前に、まず「特定の人にしか分からない仕事」がどこにあるかを見ておくことも大切です。
小さく直せるところからで十分
仕事の流れを見直すというと、大がかりな改革を想像するかもしれません。
でも、最初から全部を変える必要はありません。
たとえば、
- ファイル名のルールを決める
- 保存場所をそろえる
- 入力項目を減らす
- 同じ内容の二重入力をやめる
- 集計用の一覧表を作る
- よく使う資料を探しやすくする
- 担当者しか分からない手順をメモに残す
このくらいの小さな見直しでも、日々の負担は少しずつ変わります。
大切なのは、完璧な仕組みを作ることではなく、毎日の仕事が少しでも迷わず進む状態に近づけることです。
経営者が見ておきたい視点
社長やオーナーが、すべての細かい作業を把握する必要はありません。
ただ、次のような声が現場から出ていないかは、見ておく価値があります。
- 毎月この作業が大変
- いつも同じ集計をしている
- どのファイルが正しいか分からない
- あの人に聞かないと分からない
- 紙とExcelの両方に書いている
- 過去の情報を探すのに時間がかかる
- 人が変わると引き継ぎが大変
こうした声は、仕事の流れを見直すサインです。
人を増やす前に、今ある仕事の中で減らせる手間がないかを見てみると、改善のきっかけが見つかることがあります。
まとめ
人手不足を感じたとき、人を増やすことは大切な選択肢です。
ただ、その前に、今の仕事の流れを一度見直してみることも大切です。
- 重複している入力はないか
- 探す時間が増えていないか
- 担当者しか分からない仕事はないか
- 毎月同じ手作業をくり返していないか
- 情報がすぐ見える形になっているか
こうした点を確認すると、人を増やす以外にもできることが見えてくる場合があります。
忙しさの原因は、人数だけではなく、仕事の流れの中に隠れていることもあります。
まずは、自社の中で「いつも少し面倒だけど、当たり前になっている作業」を見つけるところから始めてみるのも良いと思います。